疾患と検査値の推移
急性中耳炎
小林 一女
1
1昭和大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.272-276
発行日 2013年4月1日
Published Date 2013/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103890
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急性中耳炎は小児の耳疾患では最も頻度の高い疾患である.生後1歳までに15~20%,2歳までに22~74%,3歳までには50~70%の小児が少なくとも1回は罹患するといわれている.抗菌薬の発達した現在でも急性中耳炎は軽症化するどころか,難治例が認められる.難治化は,耐性菌の増加など細菌側の要因,宿主の免疫の未熟さなどが原因で生じる.2歳未満の乳幼児,保育園へ通園している乳幼児からは耐性菌が検出されることが多く,難治例として扱われる.
小児急性中耳炎の主な起因菌は,肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae),インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae),モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)で,S. pneumoniaeとH. influenzaeが半数を占めている.感染は鼻咽頭に存在するこれらの起因菌が感冒など上気道炎の後に耳管を経由して中耳に波及し,炎症を起こす.
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