臨床医からの質問に答える
急性冠症候群で最も効率的・経済的なバイオマーカーはどれですか
石井 潤一
1
1藤田保健衛生大学医学部臨床検査科
pp.1300-1302
発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103743
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はじめに
バイオマーカーは,超音波,CTや核医学検査などの画像診断と異なり,専門的な技術がなくても,その病態を客観的に評価できる.急性冠症候群の診療では,トロポニン(IおよびT),CK(creatine kinase)-MB,心筋型脂肪酸結合蛋白(heart-type fatty acid-binding protein,H-FABP)などのバイオマーカーが心筋傷害(壊死)の評価に用いられている.トロポニンの測定値は早期リスク層別化や治療戦略の決定に不可欠な情報である.しかも,迅速定量測定やPOCT(point-of-care testing)が臨床導入されている.したがって,トロポニンは若干の問題点は存在するが,急性冠症候群で最も効率的・経済的なバイオマーカーである.
一方,急性冠症候群の診療におけるバイオマーカーの費用対効果に関する検討は重要であるが,その報告は少ない.特にわが国では詮索した限りでは見当たらないので,今後の検討が望まれる.
本稿では,トロポニンを中心に,急性冠症候群の診療におけるバイオマーカーの効率的・経済的な価値について概説する.
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