増刊号 この検査データを読めますか?―検査値から病態を探る
Ⅲ 内分泌代謝疾患
10 痛風関節炎の沈静化後,血清尿酸値が上昇した34歳の男性《痛風関節炎・高尿酸血症》
浦野 和子
1
1東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター
pp.1002-1008
発行日 2012年9月15日
Published Date 2012/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103689
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Ⅰ.症例
34歳の男性.22歳の就職時(当時体重72kg)の健診で血清尿酸値8.2mg/dLを指摘されるも放置していた.最近,職場は多忙であり,帰宅は22時過ぎになることが多く,帰宅後,夕食時にビール500mLを飲酒する.先週末,ゴルフの後宴席あり.翌日から右第1足趾MTP(metatarsophalangeal,中足趾節)関節の疼痛を自覚して歩行困難となり,さらに昨日から左膝関節の疼痛も併発したため来院した.
現症:身長173cm,体重86kg,BMI(body mass index)28.7,血圧152/92mmHg,耳介に結節は認めない.胸・腹部の診察で異常を認めない.上肢の関節に異常所見は認めないが,右第1足趾MTP関節および左膝関節は発赤・熱感を伴う圧痛,腫脹を認める.当日は採血および採尿検査を施行し,急性関節炎に対して非ステロイド抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs, NSAIDs)を処方した.関節炎が沈静化しNSAIDs内服が不要となった時点で,蓄尿3日前から高プリン食・飲酒を控えるよう指示,自宅での24時間蓄尿,翌日蓄尿を持参し再診,採血を施行した.
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