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黄疸患者の尿中ビリルビン―試験紙検査陰性例から
矢内 充
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1日本大学医学部内科学系総合内科学分野
pp.28-29
発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103028
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ビリルビンの代謝と黄疸
正常人のビリルビンの大部分は,老化赤血球の崩壊や骨髄での無効造血で生じたヘモグロビンに由来する.老化赤血球は脾臓や肝臓のクッパー細胞などの組織マクロファージに貪食され,ヘモグロビンはヘムとグロビンに分解される.ヘムはヘムオキシゲナーゼによりビリベルジンとなり,さらにビリベルジン還元酵素によりビリルビンとなる.ここで生成されたビリルビンは脂溶性であり,血中では主にアルブミンと結合(間接ビリルビン)して運搬される.間接ビリルビンは肝臓に移動し,肝細胞に取り込まれた後,グルクロン酸抱合を受けて水溶性の抱合型ビリルビン(直接ビリルビン)となり,毛細胆管腔から胆汁中に排泄され,腸管に排出される.腸管に排泄されたビリルビンは腸内細菌の作用で脱抱合と還元を受け,ウロビリノゲンとなり,80%は便中に排泄,残りの20%は腸管から吸収され血中に入り,尿へ排泄される(図).
黄疸とは,これらの代謝過程のいずれかが破綻することにより,ビリルビンが体内で増加し,全身の組織や体液にビリルビンが貯留した状態である.通常,血清総ビリルビンが2~3mg/dlを超えると肉眼的に黄疸が認められるようになる.
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