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大腸癌における便中ラクトフェリン測定の有用性
渡辺 明日香
1
,
濱野 康之
1
,
松瀬 亮一
1
,
平田 一郎
2
1株式会社いかがく研究開発本部
2藤田保健衛生大学医学部・消化管内科学講座
pp.422-423
発行日 2010年6月1日
Published Date 2010/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102814
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はじめに
大腸癌とは結腸癌・直腸癌の総称であり,近年わが国で罹患率・死亡率が漸増している疾患である.大腸癌検診は癌の早期発見のために有効であり,スクリーニング検査としては,もっぱら便中ヘモグロビン(hemoglobin,Hb)を免疫法で検出する便潜血検査が利用される.しかし,大腸癌における腸管出血は必ずしも普遍的な症状ではなく,また一方,癌に由来しない出血も検出されるため,出血マーカーであるHbの測定だけでは大腸癌の検出に限界がある.そこで,筆者らは炎症マーカーに着目し,便中ラクトフェリン(lactoferrin,Lf)注測定が大腸癌の検出に有用であることを見いだした1).
注ラクトフェリン(Lf):好中球の特殊顆粒内に存在する分子量約80kDaの鉄結合性の糖蛋白質であり,細菌増殖抑制作用,免疫系細胞の分化制御作用,サイトカインの産生抑制などの免疫反応調節作用をもち,初乳・唾液・涙液などの分泌液に多く含まれる.
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