Laboratory Practice 〈病理〉
免疫染色コントロールサーベイ
迫 欣二
1
,
滝野 寿
2
1JA愛知厚生連豊田厚生病院臨床検査科
2名古屋市立大学大学院医学研究科臨床病態病理
pp.1416-1417
発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102684
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はじめに
病理組織検査における免疫学染色の果たす役割は,これまでのヘマトキシリン・エオジン(hema-toxylin-eosin,HE)診断の補助的役割から,疾病の質的診断や治療法の選択,さらには分子標的治療薬の適否の決定などその重要性を増しており,免疫染色の精度管理および標準化が急務となっている.しかし,わが国唯一全国規模で実施される日本臨床衛生検査技師会(日臨技)の精度管理調査では免疫染色の調査は実施されておらず,実情それらの精度管理は,都道府県の技師会レベルでの調査あるいは個々の施設による内部精度管理に任されており,十分な精度管理が行われているとは言い難い.また免疫染色検査実施施設を対象としたアンケート調査では,各施設で検査手法が独自に改良されているケースが目立ち,このことが施設間差を生む大きな一因とも考えられている.他の臨床検査とは異なり,免疫染色検査では標準物質による精度管理が困難で,現行の精度管理方法では,この施設間差を抑えることは容易ではない状況にある.一方で,フルオートの自動免疫染色装置が開発されたり,反応性の高いポリマー系の発色キットの開発,感度の高い一次抗体の発展等々,免疫染色の標準化に向けた環境はほぼ整っており,早急な精度管理方法の確立が望まれる.
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