増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学
V 細胞診
各論
8 リンパ節
岸本 浩次
1
,
北村 隆司
1
,
光谷 俊幸
1
1昭和大学藤が丘病院病院病理科
pp.1194-1196
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102616
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はじめに
リンパ節は免疫機能を司る器官として人体のあらゆる部位に存在している.頸部,腋窩,鼠径部などの表在性リンパ節は表皮下に分布し,リンパ節腫大をきたした場合,触れることができる.深部リンパ節としては胸腔,腹腔内臓器の周辺,および大動脈周囲に多く存在している.リンパ節の形状はそら豆状で,大きさは数mm程度,外側は被膜で覆われ,輸入,輸出リンパ管の出入りにより全身のリンパ節とつながっている.また,被膜を持たないが,扁桃や消化管などの粘膜下に存在するリンパ濾胞もリンパ節と類似した組織構造を有し,粘膜関連リンパ組織(mucosa-associated lymphoid tissue,MALT)などと呼ばれている.このようにリンパ節,リンパ組織は全身に広く分布しており,あらゆる部位,臓器が細胞診の対象となる.特に表在性リンパ節では組織生検に比べ侵襲の少ない穿刺吸引細胞診が有用な検査法となっている.
ここではリンパ節病変における細胞診の役割について,およびリンパ節構成細胞,良性,悪性病変の細胞像の概略について述べる.詳細は成書1,2)を参照されたい.
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