増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学
V 細胞診
総論
3 染色法
3 免疫組織化学(酵素抗体法)
丸川 活司
1
,
松野 吉宏
1
1北海道大学医学部附属病院病理部
pp.1160-1162
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102606
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はじめに
1966年,NakaneとPierceによって,組織標本に対する酵素標識抗体法(免疫染色)が報告されてから,現在の病理組織診断にとって欠かすことのできない手法となっている.この手法は1980年頃より細胞診領域にも応用されるようになり,近年では組織診と同様に腫瘍の診断,組織型推定,原発巣の推定,悪性度評価,病原体検索などの目的で用いられる重要な手法となっている.特に数多く標本作製が可能な体腔液細胞診では,パパニコロウ(Papanicolaou)染色,ギムザ(Giemsa)染色,粘液染色などの特殊染色を用いた形態学的所見のみではなく,免疫染色を用いることにより組織型・原発巣がある程度わかり,臨床へのさらなる情報提供を可能とした.
そこで,本稿では細胞診材料における免疫染色の中でも体腔液細胞診材料に対する免疫染色を中心に述べたい.
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