増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学
IV 血液像
各論
3 造血器腫瘍のWHO分類
4 急性骨髄性白血病
田坂 大象
1
,
通山 薫
1
1川崎医科大学検査診断学
pp.1112-1117
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102593
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1 急性骨髄性白血病のFAB分類からWHO分類へ
French-American-British(FAB)分類が急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia,AML)の区分において成功し,長らく臨床の現場で用いられてきた背景の一つに,FAB分類の形態分類と,その後判明した染色体や分子レベルの異常がよく相関したこと,さらにその分子異常が治療や予後に密接にかかわったことが挙げられる.その後,2001年にWHOは造血リンパ領域の悪性腫瘍全般の新たな分類を発表した.WHO分類は造血器悪性腫瘍の系統的包括的分類法で,従来のFAB分類が主に形態と簡単な特殊染色と免疫学的手法による分類に重きを置いていたのに対して,WHO分類ではAMLは単純な形態的分類ではなく,形態学に加えて,相互転座を有する染色体異常および臨床的特徴に基づいて分類されている.
FAB分類と大きく異なる点は,FAB分類が主に初発時の形態を対象としていたが,WHO分類においては治療関連AMLや骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome,MDS)からの進展など病態まで踏み込んだ点,AMLとMDSの境界を骨髄中の芽球の比率を20%に引き下げたことと,固有の染色体異常をもつAMLを独立した疾患単位として扱った点である.WHO分類2008年版にてAMLの分類はさらに細分化された(表1).
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