増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学
IV 血液像
各論
3 造血器腫瘍のWHO分類
3 骨髄異形成症候群
通山 薫
1
1川崎医科大学検査診断学
pp.1108-1111
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102592
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1 骨髄異形成症候群(MDS)とは?
骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome,MDS)とは,骨髄中の造血幹細胞に生じた異常クローンが増殖と分化を繰り返しながら正常造血に置き換わった結果として発症する後天性造血障害である.一般に原因不明で,骨髄細胞は一見保たれているが,無効造血のために慢性・治療抵抗性の貧血・血球減少をきたし,しばしば骨髄不全に陥る.さらに急性骨髄性白血病へ移行しやすい潜在的悪性性格を併せもつ予後不良の骨髄疾患である.各血球系には種々の異形成像がみられる.中高年齢者に好発し,男女比は約2:1である.
病型分類はFrench-American-British(FAB)分類(1982年)1)からWHO分類2001年版2),さらにWHO分類2008年版3)と変遷してきた.2008年版を表1に示した.なお,骨髄または末梢血中の骨髄芽球比率が20%以上になると,定義上急性骨髄性白血病のカテゴリーに入る.
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