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1 骨髄増殖性腫瘍
骨髄増殖性腫瘍(myeloproliferative neoplasms,MPN)は1個の形質転換した造血幹細胞に由来するクローン性増殖疾患で,骨髄系細胞の1系統以上の増殖を呈する疾患群である.MPNに属する疾患すべてを併せた頻度は6~10/100,000人である.骨髄は過形成で1系統あるいは多系統の血球の増殖が認められるが,成熟障害はない.末梢血では1~3系統の細胞の増加を認める.過剰な血液細胞や異常造血細胞の増加のため肝・脾腫を認めることが多い.血球形態は慢性期ではほぼ正常である.MPNは慢性に経過し,最終的には骨髄不全あるいは急性白血病に移行する.
2001年のWHO分類1)では慢性骨髄増殖性疾患(chronic myeloproliferative diseases,CMPD)の古典的4疾患である慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia,CML)(図1a),特発性骨髄線維症(chronic idiopathic myelofibrosis, CIMF),真性赤血球増加症(polycythemia vera, PV),本態性血小板血症(essential thrombocythemia,ET)(図1b)に加え,従来CMLの亜型に置かれていた慢性好中球性白血病(chronic neutrophilic leukemia,CNL)と慢性好酸球性白血病(chronic eosinophilic leukemia,CEL)(図1c)が同列に置かれた.さらにいずれの病型の診断基準も満たさない症例に対して分類不能慢性骨髄増殖性疾患(chronic myeloproliferative disease,unclassifiable,CMPD-U)が設けられた.
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