増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学
IV 血液像
総論
3 染色法の原理と特徴
1 普通染色
常名 政弘
1
,
小池 由佳子
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.1073-1075
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102585
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はじめに
血液細胞の分類および観察を行う基本的な染色法として,普通染色が用いられている.普通染色はロマノフスキー(Romanowsky)染色と総称され,単染色として核をよく染めるギムザ(Giemsa)染色,細胞質と顆粒をよく染めるライト(Wright)染色があり,さらにそれぞれの特徴を合わせたライト・ギムザ(Wright-Giemsa)染色とメイ・グリュンワルド・ギムザ(May-Grunwald-Giemsa)染色の二重染色が広く用いられている1).
実際に細胞を鏡検する際は,各種細胞の特徴,すなわち細胞の大きさ,核型,核網構造,核小体の有無,細胞質の広さや色調,顆粒の有無などを観察し細胞を鑑別する必要がある.一方,核や細胞質の色調,核網構造などの形態学的所見は,染色性に作用されやすく,染色不良により,時には細胞分類を誤ることもあり,染色の原理や細胞の染色性の特徴を理解することは重要である.
本稿では,普通染色の原理と特徴,そして染色上の諸条件による影響について解説し,実際の染色手技については割愛する.
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