増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学
II 微生物検査
各論
1 感染症と顕微鏡検査の所見
1 呼吸器感染症
相原 雅典
1
1医療法人社団徳風会髙根病院検査部
pp.935-939
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102557
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はじめに
患者から採取された検体がホットな病巣から得られたものであれば,その検体で作製した標本中には患者病態と関連深いさまざまな物質や現象が認められる.したがって,塗抹標本の顕微鏡検査は,感染症検査の専門家がみずからの肉眼で患者病巣を観察できる唯一のチャンスであり,患者病態解明に不可欠な検査として見直されるべきである.患者病態解明のための情報を得る前提として,まず検体品質の評価が不可欠となる.次に細菌や真菌による感染症を疑う所見があるかないかを判断し,感染所見がある場合にはその感染が起きた機序や,どのような特徴を持った感染像なのかを調べ,最後に感染菌は何か,という目標にたどり着く.
本稿では下気道・肺感染症に絞り,塗抹標本の鏡検で得るべき所見について記述する.
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