増刊号 一線診療のための臨床検査
第I章 総論―臨床編
1. 感染症の検査
1)呼吸器感染症
渡辺 彰
1
1東北大学加齢医学研究所呼吸器腫瘍研究分野
pp.996-1000
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100212
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はじめに
呼吸器感染症に限らず,感染症は感染した病原微生物を排除する反応として起こる炎症である.起因微生物の特定が診断と治療とにおける最大の眼目であるが,従来の分離培養同定検査は日数を要する難点があった.臨床現場では他の臨床検査成績や臨床症状・所見を総合しながら起因微生物を推定し,見切り発車の形で抗菌薬を開始していたのが実情である.しかしながら近年,呼吸器感染症領域においても起因微生物を特定する種々の迅速検査法が実用化され,診断と初期治療との戦略を大幅に見直す必要が出てきた.
本稿では臨床医の立場から,市中肺炎をモデルとして起因微生物迅速診断に限らず,呼吸器感染症の診断と治療とに臨床検査がどのように貢献できるのかを整理する.なお,表1は「序」の管野がまとめた外来で必要な迅速検査であるが,肺炎診療で必要な項目を強調した.
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