トピックス
歯周病原菌と心冠動脈疾患
石原 和幸
1
1東京歯科大学微生物学講座
pp.88-90
発行日 2009年1月1日
Published Date 2009/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102356
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はじめに
歯周病は齲蝕とともに口腔内感染症の主要なものである.これらの疾患は,歯の表面や歯と歯肉の間の歯肉溝にバイオフィルムを形成している細菌によって引き起こされる.歯周炎では,歯肉溝を覆う上皮が炎症によって傷害を受け断裂する.すべての歯に中等度~重度の歯周炎があったとすると,断裂している部分の面積はおよそ手のひら程度になる.この上皮のバリアを失った部分から菌血症が起こる.歯周炎では,一過性とはいえ菌血症が長期にわたって引き起こされることになるので他臓器になんらかの影響を与える可能性がある.以前から細菌性心内膜炎のような急性の疾患は,口腔細菌によって起こることが知られている1).最近,これに加えて動脈硬化症や糖尿病のような慢性疾患にも歯周病原性細菌がかかわっていることが明らかにされつつある.
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