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はじめに
尿の成分定量検査は“蓄尿”で行うか,クレアチニン1g当たりに換算する“クレアチニン補正”によって評価されることが多い.蓄尿を行う理由は,尿の水分量が発汗や飲水,運動などの影響によって,採尿ごとに濃度が異なることが挙げられる.また,尿中成分によっては排泄量に日内変動がある場合もある.したがって,通常24時間蓄尿によって病態を判断,評価する.その際注意すべき点として,蓄尿は成分の濃度にむらができやすいため,検体として提出する場合は,濃度が均一になるようよく攪拌することが挙げられる.
尿量を正確に秤量することは正しい検査結果を得るために重要なポイントとなる.一方,尿は栄養素を豊富に含み,細菌増殖には良好な環境であるため,ひとたび細菌汚染されると室温保存条件では速やかに菌が増殖する.細菌は増殖の際,エネルギー源として糖や含窒素成分を消費するため,尿中のブドウ糖や含窒素項目の濃度が変化し,正しい定量値が得られないことがある.また,菌体自体がもつ成分が増殖に伴い増加し,正誤差をもたらす場合もある.つまり,尿の成分定量検査において成分測定以前に重要なことは,正確な尿の秤量と細菌汚染対策ということになる.
最近,これらの問題解決のためのツールとして「ユリメジャー・システム」が関東化学によって開発された1).ユリメジャー・システムは「ユリメジャー・タブレット(以下,ユリメジャー・T)」と「ユリメジャー」で構成される.ユリメジャー・Tは水溶性防腐剤と指示物質である4ヒドロキシ安息香酸(4-HBA)が規定量含まれた錠剤で,蓄尿に1包添加して用いる.ユリメジャーは4-HBA濃度の測定試薬であり,蓄尿中4-HBA濃度の逆数と尿量が比例関係にあることを利用して,計算によって尿量を求める(図)1,2).
ユリメジャー・システムは蓄尿の一部で尿量と尿生化学検査が同時測定可能な,新しいシステムである.本稿では主に蓄尿の現状とユリメジャー・Tの防腐効果に関する内容を紹介する.
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