技術講座 生化学
―臨床化学応用技術シリーズ・4―分析理論ツール その3:蛍光・化学発光検出系
大澤 進
1
1九州大学大学院医学研究院保健学部門
pp.17-23
発行日 2009年1月1日
Published Date 2009/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102339
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臨床検査における蛍光・化学発光検出系は,高感度な検出系として高速液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography,HPLC)によるアミノ酸の蛍光分析法として利用され,その後,酵素免疫法(enzyme immunoassay,EIA)の高感度検出系として酵素標識抗体による酵素作用で蛍光基質から発生する蛍光物質を検出する方法として利用されるようになった.最近ではさらに高感度な化学発光検出系や電気化学発光検出系が利用されている1).一方,遺伝子検査の普及に伴い,遺伝子増幅のリアルタイムな検出系として二本鎖DNAに特異的に挿入(インターカレート)して蛍光を発する色素(SYBR green)を用いた試薬が利用され,日常検査にも導入されている2).
遺伝子技術の確立によって,さらに遺伝子から発現した蛋白質を解析するプロテオミクスが生命化学の注目を集めることになり,ここでも高感度な蛍光試薬を利用した技術が発展している.一つは蛍光二次元電気泳動法(2D-DIGE)で3),蛋白質標識に蛍光物質(Cy2,Cy3,Cy5)を標識する技術である.蛍光標識によって蛋白質の電荷に影響を与えず,複数の蛍光色素を利用して正常細胞と癌細胞のそれぞれの蛋白を違う蛍光色素で標識して両者を同時に泳動し,解析できる技術である.
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