増刊号 これから広がる生理検査・新たにはじまる生理検査
I 今後の生理検査に望むこと
呼吸器科:呼気凝集検査
坂本 晋
1
,
本間 栄
1
1東邦大学医療センター大森病院呼吸器内科
pp.1164-1166
発行日 2008年9月15日
Published Date 2008/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102231
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呼気凝集液検査
従来,気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease,COPD)をはじめとする炎症性呼吸器疾患の病態の機序解明やモニタリングには,胸腔鏡下肺生検,気管支鏡下肺生検,気管支肺胞洗浄(broncho-alveolar lavage fluid,BALF)などを用いた検討が行われてきた.しかし,これらの検査は侵襲が強く繰り返しの施行が困難であるため,呼吸器疾患のモニタリングには適さない.
このような検査に代わり,最近ではより低侵襲的な誘発喀痰を用いた気道炎症の評価が行われている.しかし,この手法では,唾液が含まれるため,測定する物質によっては評価が困難な場合がある.一方で,より簡便で侵襲がなく,繰り返しての施行が可能な呼気ガス分析も行われるものの,測定値は呼気流速や肺気量位などの条件によって左右される.
近年ではこのような問題を踏まえ,呼気凝縮液(exhaled breath condensate,EBC)採取という新しい手法を用いた検討が行われるようになり,気道,肺の炎症病態を評価する方法として注目されている1,2).
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