トピックス
C-反応性蛋白(CRP)の新たな機能
高橋 伯夫
1,2,3
1関西医科大学医学部臨床検査医学講座
2関西医科大学附属枚方病院臨床検査部
3関西医科大学情報センター
pp.983-987
発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101862
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はじめに
わが国をはじめとして先進諸国では肥満が社会的な問題に進展している.その理由は,肥満を源とする動脈硬化性疾患の増加による医療費の増大である.その背景には,栄養状態の改善と高度の医療に支えられて人類の寿命が伸張しているために高齢者が増加して,その他の疾患と比較すると相対的に動脈硬化性疾患の発症頻度が高まっているためである.すなわち,人生50年であれば,心筋梗塞や脳卒中の心配は皆無に等しかったが,80歳を超えれば自ずとそれらの疾患が増加するのは自明の理である.しかし,単に延命することは反社会的であって,健康寿命の伸展が非常に重要である.それには,動脈硬化を早期に診断し,血管合併症を未然に防ぐことである.そこで,注目を集めているのが動脈硬化のバイオマーカーとしてのC-反応性蛋白(C-reactive protein,CRP)である.CRPは単なる炎症マーカーではなく,炎症局所で産生されて,動脈硬化病変を増悪させる要因として機能している1).したがって,薬剤を含め,CRPを減少させるあらゆる行為は動脈硬化の予防効果がある2).さらに,究極的には,動脈硬化の治療薬としてCRP阻害薬が開発されていることからもCRPの動脈硬化における積極的な関与が明らかである.
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