検査じょうほう室 〈微生物〉
感染症検査研修を経験して
菊池 和代
1,2
1医療法人社団徳風会高根病院検査部
2株式会社保健科学研究所 営業部院内受託課
pp.568-571
発行日 2007年6月1日
Published Date 2007/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101752
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はじめに
高根病院への出向以前の筆者は県内某病院のブランチ技師であり,微生物検査の経験は皆無であった.出向は社内公募を受けて実現し,高根病院で試行されるという新しい感染症検査技術を3年間で習得することが条件とされた.細菌検査といえば技師学校時代に習った程度であった筆者にとって,専門外の難題に取り組むこともさることながら,わが国における感染症の権威である菅野治重医学博士のもとで研修を受けることのプレッシャーは例えようもなく大きく,常に挫折と隣合わせの日々でもあった.多くのベテランスタッフの助けを借り,無我夢中で過ごしたこの2年半は,これまでの技師人生では経験のないほど苦しかったが,いくつものかけがえのない収穫を得た期間でもあった.例えば,この研修を通じて真の感染症検査技術や知識を一から叩き込まれたが,同時に感染症だけにとどまらず,医療のなかにおける臨床検査技師の役割やあり方,さらに包括化医療時代に検査技師として必要なスキルを身につけることさえできた.
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