Laboratory Practice 〈病理●癌取扱い規約の解説と問題点・4〉
卵巣腫瘍取扱い規約
本山 悌一
1
1山形大学医学部人体病理病態学教室
pp.370-373
発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101682
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はじめに
現在,わが国で用いられている『卵巣腫瘍取扱い規約』は,第1部が「組織分類ならびにカラーアトラス」(日本産科婦人科学会・日本病理学会編)1)として1990年に第1版が刊行され,臨床上特に重要な進行期の決定,リンパ節の名称,診断法,治療法の概略そして登録の実際について記された第2部(日本産科婦人科学会編)は1992年に第1版が,登録の実際について改訂された第2版2)が1997年に刊行された.これらは,卵巣腫瘍の病理診断や臨床的取り扱いの諸問題の指針として,これまで各方面で大きな貢献をしてきた.さらに,卵巣癌に対する標準的な治療法についてのガイドラインとして『卵巣がん 治療ガイドライン 2004年版』(日本婦人科腫瘍学会編)3)が刊行され,卵巣腫瘍に対する適正な治療法への努力が着々と積み重ねられてきている.
さて,臨床面,特に治療法に関する積極的な模索に対して,診断面,特に病理診断に関する取り扱いが既に15年以上も前に決めたものを,今後もそのまま用いることでよいであろうかとの懸念がこのところにわかに出てきている.このことについての私見を以下に述べてみたい.
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