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慢性リンパ性白血病:MDS;RARS
常名 政弘
1
,
東 克巳
2
1東京大学医学部附属病院検査部
2杏林大学保健学部臨床血液学研究室
pp.336
発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101673
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今回は,FAB分類(French American British classification)の骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes,MDS)の環状鉄芽球陽性不応性貧血(refaractory anemia with ringed sideroblasts,RARS)を取り上げた.FAB分類のRARSはWHO分類(World Health Organization,世界保健機関)では,貧血を主徴とし赤芽球系のみに異形成がみられ,環状鉄芽球を認めるRARSと末梢血液の2系統以上の血球減少を主徴とし骨髄造血系の2系統以上に異形成と環状鉄芽球を伴う不応性血球減少症(refaractory cytopenia with multilineage dyspasia and ringed sideroblasts,RCMD-RS)に分けられている.
MDSは,単クローン性の造血障害であり骨髄は正形成ないし過形成を示すが,無効造血のために末梢血液では2~3血球系統に減少を認めるのが特徴である.一部の症例では白血病に移行することがある.また,MDSでは各血球に形態異常を示すことが特徴の一つでもある.顆粒球系の形態異常としては,顆粒の減少や偏在,偽Pelger様核,核の過分葉,クロマチン凝集異常などがある.赤芽球系の形態異常としては,細胞質の空胞,多核や核不整,巨赤芽球様変化,特殊染色でPAS(Periodic acid Schiff)陽性や環状鉄芽球陽性がある.巨核球系の形態異常としては,分節傾向の乏しい核や逆に分離多核の巨核球,小型巨核球がある.
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