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心臓超音波 1. 先天性心疾患と腫瘍・血栓例
永江 学
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1聖マリアンナ医科大学病院超音波センター
pp.1318
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101627
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【解説】 図1,2は1歳2か月の男児の超音波断層像とMスキャン図である.出生時よりチアノーゼが認められ先天性心疾患を指摘されていた.今回,手術目的に入院してきた患者のものである.図1の胸骨左縁左室長軸断層像では大きな心室中隔欠損が認められ,大動脈は心室中隔にまたがり(大動脈騎乗),左室と右室の両方から血流を受けている.図2はMスキャン図であるが,大動脈前壁と心室中隔の連続性は認められず大動脈騎乗がより明瞭に観察できる.本例はファロー四徴症(tetralogy of Fallot)の例で,心エコー検査で比較的容易に診断可能である.手術を念頭に置いたチェックポイントとしては,左室の大きさ,肺動脈分岐狭窄の有無,右室流出路狭窄の有無,冠動脈の走行,心室中隔欠損孔の位置などが挙げられる.
図3は4歳女児の超音波断層像である.出生時3日目より心雑音を指摘され先天性心疾患(心室中隔欠損症)の診断が下され,経過観察中の症例である.左室から右室への短絡血流シグナルがカラードプラ法で確認される.本例ではカークリン(Kirklin)分類の膜様部中隔欠損例である.チェックポイントとしては欠損孔の位置と大きさ,左房・左室の容量負荷の有無,肺高血圧の有無,などが挙げられる.重症度は,短絡血流と肺高血圧の程度により決定される.
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