増刊号 包括医療と臨床検査
第2章 各論―疾患の診断治療のために最小限必要な検査
35.多発性骨髄腫および免疫増殖性新生物
影岡 武士
1
1倉敷中央病院臨床検査科
pp.1148-1153
発行日 2003年9月15日
Published Date 2003/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101589
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はじめに
多発性骨髄腫(骨髄腫)は各種の治療法の試みにもかかわらず現在も致死的な形質細胞の悪性増殖性疾患である.骨髄腫は高齢者の疾患としてその発生率には人種的な相違があり,人口10万人当たりアメリカ白人は4人,アメリカ黒人は8人である.一方,わが国の骨髄腫による死亡率(対人口10万人)は1998年には2.3人となっていて,65歳以上ではこの20年間で約3倍に増加しており,高齢化社会を反映して今後も増加傾向は続くものと考えられる.
多発性骨髄腫および免疫増殖性新生物に共通する所見は,血清または尿中に単クローン性免疫グロブリン異常症(monoclonal gammopathy,M蛋白血症)を示すことにある.
本稿はM蛋白血症の所見を規準に疾患を分類し,多発性骨髄腫を中心としてそれらの鑑別診断,病態把握,治療効果の判定に必要な検査について要約する.
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