増刊号 包括医療と臨床検査
第2章 各論―疾患の診断治療のために最小限必要な検査
9.心不全
杉浦 哲朗
1
1高知医科大学病態情報診断学
pp.1011-1015
発行日 2003年9月15日
Published Date 2003/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101563
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はじめに
心不全とは「心機能低下のため心臓から拍出される血液量が減少し,末梢組織が必要とする酸素および栄養分の供給が不十分となった状態」と定義される.心不全は各種器質的心疾患末期にみられる共通の病態であるが,発症の時間的経過および心機能低下に対する代償機転が異なることにより急性心不全と慢性心不全に分類される.日常診療で心不全を疑った場合,基礎心疾患の確定診断とその重症度を評価し,適切な治療方針を決定する必要がある.包括医療が心不全診療に取り入れられる時代においては,臨床医は正確な問診と身体所見を得て,迅速に確定診断ができるよう検査を選択することが重要である.
本稿では,一般外来で最初に何をすべきか,優先される検査は何かを急性心不全と慢性心不全に分けて概説する.
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