増刊号 包括医療と臨床検査
第2章 各論―疾患の診断治療のために最小限必要な検査
7.気管・気管支および肺の原発性悪性新生物および続発性悪性新生物
諏訪 部章
1
1岩手医科大学医学部臨床検査医学講座
pp.1001-1005
発行日 2003年9月15日
Published Date 2003/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101561
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はじめに
気管・気管支または肺の原発性悪性新生物または続発性悪性新生物に含まれる疾患は他種多彩であるが,このうちで肺癌が大部分を占めることは疑いない事実であるので,本稿では単にこれらを肺癌と呼称することにする.
日本における原発性肺癌の死亡数は1998年に年間5万人を越え,胃癌を抜いて癌死亡の第1位になった.この数はなおも増加傾向にあり,現在の日本人の15~20人に1人が肺癌で死亡する計算になる1).
肺癌のうち最も多いのは腺癌であり,扁平上皮癌,小細胞癌,大細胞癌と続く.治療・予後の観点から,肺癌は小細胞癌とその他の非小細胞癌とに分けて論じられることが一般的である.また,肺癌の進行度は,TNM分類(tumor node metastasis classification)(表1)2)にしたがってstage I,II,III,IVに分類される(表2).このように肺癌における臨床検査は,組織診断(質的診断)と病期診断(量的診断)とに区別され,それぞれに行うべき検査内容とその流れも大きく異なってくる.
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