増刊号 包括医療と臨床検査
第2章 各論―疾患の診断治療のために最小限必要な検査
5.肺結核
佐々木 結花
1
1国立療養所千葉東病院呼吸器科
pp.991-995
発行日 2003年9月15日
Published Date 2003/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101559
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はじめに
肺結核の診断は容易にみえ実は容易ではない.呼吸器症状を有した患者に対し,胸部単純X線写真撮影を行い,異常影を有した場合喀痰抗酸菌塗抹培養検査を3日間連続して施行し診断に至る,という流れが結核診断の基本であり,簡素なものの,施行が遅れたり,有意な結果が出ず診断に苦慮する場合も認められる.
現在,わが国では肺結核患者は減少しているとはいえ,2001年には新登録患者は約28,000人であり1),世界的にみて中程度に蔓延している国である.空気感染する疾患であり,診断までの期間が長期であるほど院内感染が生じるばかりではなく,患者の生活環境周囲の人々,通院中に接触する不特定多数の人々に結核感染を拡大することから,包括医療が施行されても,検査内容にはポイントがあると考えられる.今回,診断に至るために必須の検査を中心に報告する.
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