増刊号 包括医療と臨床検査
第2章 各論―疾患の診断治療のために最小限必要な検査
4.肺炎
菅野 治重
1
1高根病院内科
pp.986-990
発行日 2003年9月15日
Published Date 2003/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101558
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はじめに
疾患群別定額払い制度(Diagnosis-Related Groups/Prospective Payment System;DRG/PPS)は医療費の削減を目的とした新しい医療費支払い制度であり,既に米国において導入され,多くの批判を浴びている制度でもある.日本でも毎年増大する医療費の削減を目的として本格的に導入されようとしている.DRG/PPSでは治療に対して支払われる金額が疾患と重症度によって定額化されるため,治療に要する総費用が少ないほど病院の収益が上がるシステムである.このためにDRG/PPSが導入されると,入院期間は短縮し,高価な治療薬が敬遠され,検査も項目と回数が減少するなどの変化が予想される.また入院期間を無駄に延長させないために院内感染に対する予防策が重視されると考えられる.一方で,病院評価のための機構が制度化されつつあり,医療費の削減が医療の内容を低下させることは許されない状況にある.このようにDRG/PPSは病院や検査室にとって厳しい制度であることを最初に認識する必要がある.
しかし診療を確実・迅速に進めるためには臨床検査は不可欠であり,DGR/PPSにおいても臨床検査の重要性は変わることはない.しかし診療への有用性から検査項目が再評価され,診療に有用で利用価値が高い検査は存続し,診療に貢献しない検査は大幅に減少すると予想される.本稿では肺炎(特に市中肺炎)を例としてDRG/PPSにおける臨床検査について考察してみた.
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