ワンポイントアドバイス
栄養サポートチーム(NST) その1 NSTの目的
東口 髙志
1
1尾鷲総合病院・NST & Clinical Path Complex (NCC) Chair man
pp.752-753
発行日 2003年8月1日
Published Date 2003/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101498
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NSTとは
栄養管理はすべての疾患治療のうえで共通する基本的医療の1つである.一般に栄養管理を疎かにすると,如何なる治療法も効力を失い,さらに侵襲的な治療法に伴う副作用や合併症の発生を容易にすることが指摘されている1,2).したがって栄養管理が確立されたうえで種々の疾患に対する治療を実施することはごく当然のことであり,この栄養管理を症例個々や各疾患治療に応じて適切に実施することをnutrition support(栄養サポート/栄養支援)といい,この栄養サポートを職種の壁を越えて実践する集団(チーム)をnutrition support team(NST,栄養サポートチーム)という1,3).
NSTの誕生
NSTは1970年米国のシカゴで誕生し,1980年代には全米に広がり,その後欧米諸国へと急速に伝播していった4).現在,欧米諸国では総合病院の約半数にNSTが設立されているが,このNSTの爆発的な発展の背景には中心静脈栄養によるカテーテル敗血症などの致死的合併症の予防と,経腸栄養法に比べて膨大な医療費が必要である5) 中心静脈栄養乱用の制御が挙げられる1).すなわち,これら欧米におけるNST波及の原動力は,医療の質を保証・向上しつつ得られる莫大な経済効果であった.そしてこの経済効果によってNSTも専属チーム運営の財源を確保して世界中に伝播していったのである.
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