病気のはなし
発作性夜間血色素尿症
七島 勉
1
1福島県立医科大学第1内科
pp.92-95
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101319
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新しい知見
発作性夜間血色素尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria;PNH)は補体感受性赤血球の存在により補体が活性化した際に血管内溶血を起こし,貧血およびヘモグロビン尿(ないしヘモジデリン尿)を来す後天性の慢性溶血性貧血である.近年,PNHにおける分子および遺伝子レベルでの研究の進歩に伴い,PNHは新しい概念で捉えられるようになった.PNHは造血前駆細胞レベルにおいてphosphatidylinositol glycan-class A(PIG-A)遺伝子の体細胞突然変異が起こることにより,各種血液細胞のglycosylphosphatidylinositol(GPI)アンカー蛋白が複合欠損する後天性のクローナル疾患とされる.PNHにおける補体溶血は,GPIアンカー蛋白に属するCD55およびCD59という補体防御膜蛋白が欠損することに由来する.
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