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MRSAの発症例と定着例の鑑別法
相原 雅典
1
1医療法人社団徳風会高根病院検査部
pp.1494-1495
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101270
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はじめに
1990年前半に地球的規模でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus,MRSA)の院内感染が問題視された頃は,とてつもない強毒菌のように扱われた.しかしその後,起源や病原性が明らかにされ,感染がコントロール可能となったことで,一時の狂騒は沈静化に向かった.ただし,今日,MRSAに関する問題点のすべてが解決されたわけではない.例えば,病院の院内感染対策委員会では,いまだに細菌検査室から上げられた分離菌株数をそのまま症例数として報告している施設があり,実態とはかけ離れた数の院内感染例が実在することになっている.院内感染例として報告すべき症例は,院内における医療処置を介して感染・発症した症例であり,病原菌と判断されない菌や保菌例は除外されるべきで,そのために感染と保菌の厳密な識別が求められる.
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