技術講座 生理
危険な不整脈の鑑別法
深谷 眞彦
1
1高知県立西南病院内科
pp.223-228
発行日 1999年3月1日
Published Date 1999/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903733
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新しい知見
頻拍性不整脈の興奮旋回路の診断法
頻拍性不整脈の多くはリエントリー性不整脈である.心房粗動や持続性単形性心室頻拍などの興奮旋回路を詳細に検討することは,カテーテルアプレーションなどによる治療時に必要である.興奮旋回路の検討は,臨床心臓電気生理検査(EPS)で,X線透視下に種々の多極カテーテル電極を複数本心腔内に挿入して,多くの部位の電位を記録することで行われている.最近は,1本で64極(8極×8スプライン)というバルーン・カテーテル電極もある.このようにして得られる多点同時の心腔内電位は,単にポリグラフに表示されるだけでなく,コンピュータによるいろいろな解析処理が可能で,最近は専用機器を用いて複雑な興奮旋回路の同定が行われるようになってきている.このようにして,例えば通常型の心房粗動は,右房内の三尖弁輪を前縁とし,上大静脈と下大静脈を結ぶ分界櫛および下大静脈冠状静脈洞に至るEustachian弁・縁のラインを後縁とする領域を,興奮が右室側から見て反時計方向に旋回(右房自由壁側を下行,心房中隔側を上行)する頻拍であることが明らかになっている.さらに最近,electroanatomical mappingという新しい診断機器も登場している.
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