増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査
各論
6.遺伝子検査
ノート 白血病遺伝子定量検査
上平 憲
1
1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科病態解析・制御学講座
pp.1315-1319
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101122
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はじめに
白血病を含む「がん」は,遺伝子異常の蓄積した病気である.がんにかかわる遺伝子異常は,変異・欠損・転座などの構造的変化を伴うもの,構造異常を伴わない量的異常,およびその両者がある.遺伝子検査には,このような遺伝子の構造異常の有無を検査する定性検査と構造異常の有無を問わず量的変化をみる定量検査がある.定量検査は,定性検査の代役になるのみでなく,定性検査ではわからない10万から100万分の1単位で微量の腫瘍細胞集団を腫瘍量(minimal residual disease,MRD)としてを評価できる分子マーカーとして臨床的価値が高い.そのうえに,最近のPCR法を取り巻く測定プラットホームの進歩で検査の簡略化,精度の向上があり,既に一部の遺伝子は実用化されている.しかし,白血病遺伝子定量検査には解決すべき問題点もまだ多く,本稿では現場での経験をとおしてPCR(polymerase chain reaction,ポリメラーゼ連鎖反応)法を中心に白血病遺伝子の定量検査の理論,現状,問題点などをレビューする.
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