増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査
総論
8 POCT
松尾 収二
1
1天理よろづ相談所病院臨床病理部
pp.1044-1049
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101049
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はじめに
検査の進歩により新米の医師でもベテラン医師でも容易に検査データを入手できるようになった.しかも良質のデータを大量かつ迅速に活用できるようになった.しかし昨今の医療費抑制の流れのなかで,検査を無分別に行うことを戒める一方,迅速化に対する要求はとどまることを知らない.このような中で診察現場での検査,すなわちPOCT(point of care testing)が注目されている.POCTとして,血液ガス・電解質を中心とした緊急検査,感染症診療のためのCBC(complete blood count,全血球計算)やCRP(C-reactive protein,C反応性蛋白質),糖尿病モニターのための血糖検査など広く行われてるが,今後,対応の範囲は広がっていくであろう.
POCTは,医療従事者が検査し診断・治療に活用する検査の仕組みである.患者自らが検体採取したり測定する在宅検診やOTC(over the counter)とは異なる.本項の目的は,POCTとは操作が簡便な検査の機器や試薬を指すのではなく検査の仕組みであることを理解して頂き,適切な管理,運用を促すことにある.
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