検査じょうほう室 生化学
POCTの動向
柴田 宏
1
1島根大学医学部附属病院検査部
pp.962-964
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101033
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POCT出現までの背景
臨床検査の歴史は,ヒポクラテスの時代の尿の色,臭気,量などの異常を観察することから始まり,20世紀には技術革新とともに臨床検査も進歩して分析項目は増大し,測定精度も向上した.検査を行う場所も診察室や研究室であったものが“中央化”され検査専門の部署で実施されるようになり,中央検査部門では,新規検査項目の取り込みと,急激な検体数の増加に対応するための測定の自動化が進んだ1).
しかし,今日では臨床検査の重要性がますます増大するなか,大量検体の一括処理は個々の患者にとって決して最適・最速ではなくなった.救急救命センター,ICU(intensive care unit,集中治療室),CCU(coronary care unit,心臓集中治療室),手術室などの救急医療では,臨床検査の結果が患者の命を左右する場面もあり,超緊急に測定結果を必要とする.中央検査部門でも緊急検査体制をとっている施設も多いが,多数の検体を扱う状況では超緊急検査体制には限界がある.このような臨床検査の即時対応の要望に呼応してPOCT(point of care testing)の概念が生まれた.
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