増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査
総論
2 疾患プロテオミクスの現状と将来展望
野村 文夫
1,2
1千葉大学大学院医学研究院分子病態解析学
2千葉大学医学部附属病院疾患プロテオミクス寄附研究部門
pp.1007-1012
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101043
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はじめに
ポストゲノムあるいはポストシークエンス時代に入り,トランスクリプトーム,プロテオームが盛んに論じられるようになった.公式の論文上1995年に初めて登場したとされるproteomeという用語も既に市民権を得ている.プロテオーム解析技術の進歩はめざましく,ノーベル化学賞につながった田中耕一氏のMALDIを利用した質量分析ベースの方法を初めとして,近年急速な展開をみせている.包括的プロテオーム解析において蛋白質の同定が容易になってきたことはヒトゲノム計画の成果により,ヒト遺伝子のデータベースが整った結果であることはいうまでもない.いわゆる疾患プロテオミクスは,近い将来,臨床検査への応用も可能となることが期待されている.
本稿では臨床検査からみた疾患プロテオミクスについて自験例を含めて述べる.
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