検査じょうほう室 生理 脳波検査のスキルアップ
患者さんへの接しかた その2 小児編(1)
安田 久美子
1
1東京女子医科大学中央検査部脳波筋電図室
pp.870-871
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101007
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小児科の医療チームの一人として検査に携わって,いろいろな方にお会いしました.振り返ってみれば,私自身の検査に対する考えかたも,10年前と比べると大きく変わりました.それは突然の出来事によって180度変化したのではなく,日々の小さな発見が薄雪のように何年も降り積もって,今まで見えていなかった風景が眼前に開け,自分の変化を実感するという感覚でしょうか.皆さんにお届けするお話もそんな検査の風景の一つです.
小児患者さまの小さな応援団
何度かの大きな心臓の手術を受けてきた3歳の男の子Aちゃんの脳波検査でした.明日も手術が予定されており,その日は術前管理の一環として既に鎮静薬で軽く眠らされている状態でした.しかし彼は以前痙攣を起こしたことがあるとの事前情報で,主治医から急遽,脳波検査の依頼がきました.検査医からは,少しでも覚醒時の脳波記録をとのことで,私はICUに脳波計を運び,検査を始めました.彼の状態は睡眠が深く,呼びかけてもなかなか覚醒できない状態でした.大好きなピングーのビデオを大きなボリュームで流しても,なかなか目を開けようとはしません.大好物の「プリンがあるよ」と声をかけるといつもならすぐ飛び起きるのに,反応はありません.20分間以上あれやこれやと3歳児の心をくすぐるべくチャレンジしましたが,何の反応もせずに眠る彼の寝顔を見て,私自身これ以上,覚醒させるのは無理かもしれないと思い始めたときでした.
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