今月の表紙
百聞は一見に如かず・12 病理に馴染みの病原体たち(1)
松谷 章司
1
1NTT東日本関東病院病理診断部
pp.1458
発行日 2004年12月1日
Published Date 2004/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100903
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われわれは外界に直接あるいは間接的に接している皮膚や気道,口腔,消化管,泌尿生殖器などの粘膜面に細菌を持っています.これを正常細菌叢(normal bacterial flora)あるいは常在細菌叢(indigenous bacterial flora)と呼んでいます.これらはバランスのとれた保菌状態にあって,感染予防,代謝,免疫賦活作用など,われわれにとって友好的に働いてくれています.健常な人でも口腔にはStreptococcus salivariusを筆頭として,Staphylococcus,Neisseria,Actinomyces,Veillonella,Candidaなど,極めて多数の細菌が生息していて,その数を聞くと途端に食欲がなくなってしまうほどです.しかし,宿主の免疫能が低下すると,これらの病原体は日和見感染病原菌になりえます.つまり,健常人にとって病原性を示さないか病原性の弱い微生物であっても,感染防御機能が低下すると,日和見感染症(opportunistic infection)が成立するのです.
この項では気道感染を起こす油断できない身近な真菌に触れます.
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