今月の表紙
百聞は一見に如かず・1 乳頭状の腺癌
松谷 章司
1
1NTT東日本関東病院病理診断部
pp.55
発行日 2004年1月1日
Published Date 2004/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100547
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百聞は一見に如かず
今日,検体検査は鋭敏かつ高精度な検査がしかも微量な検体で可能となってきている.検査結果も自動化により極めて短時間に得られるのも当たり前となっている.目に見えない物質を可視化,数値化する方法は今後も進歩していくと思われる.
その点,病理組織検査学は臓器,組織そして細胞形態学に立脚し,方法論的にはほぼ完成したものということができるのではないだろうか.ヘマトキシリン-エオジン染色パラフィン標本(以下,HE標本)で診断する方法が基本であることは今後も変わらないからである.病理形態所見はこのHE標本での見えかたの解釈によっている.これまでに電子顕微鏡,蛍光抗体法,酵素抗体法,in situ hybridizationなど種々の方法が導入されたが,これらの方法を用いて理解したものは再びHE標本に反映され,その形態変化の理解がさらに深まり,最終診断が今後もHE染色で行われていくのに変わりはない.しかしながら,病理検査に発展の余地がないのかというと,そうではなく,病理診断の精度は技師の作製する美しい標本に依存し,病理診断医の知識と判断によるところが大きく,それぞれ個人が経験を積み重ねていく努力には終わりがないのである.
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