今月の表紙
百聞は一見に如かず・15 病理に馴染みの病原体たち(2)
松谷 章司
1
1NTT東日本関東病院病理診断部
pp.234
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100488
- 有料閲覧
- 文献概要
患者の高齢化や種々の治療による高度の免疫抑制状態を背景として,日和見感染症をみる機会が多くなってきている.本号では光学顕微鏡的に形態学上特徴を示す病原体として,赤痢アメーバとヘルペスウイルス感染症を取り上げる.
(1)赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)は,血便,しぶり腹(古くは裏急後重ともいった),腹痛などの赤痢症状(血液や粘液の混じる粘液便を頻繁に排泄する急性感染性大腸炎のこと)をきたす.衛生状態の悪い地域における感染症であるとともに,先進国でも近年,男性同性愛者間の性行為感染症の一つとして認識されてきている.アメーバは結腸粘膜上皮細胞が変性,剝離してできたびらん巣から組織内に侵入すると言われる.診断には内視鏡検査および生検で確認するのが手っ取り早い.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.