トピックス
糖尿病の大血管合併症に対する治療戦略
山崎 義光
1
1大阪大学大学院医学研究科病態情報内科学
pp.1322-1323
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100861
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■糖尿病大血管合併症の病像
冠動脈疾患患者の6~7割は,糖尿病および境界型糖尿病患者である.逆に現在740万人と推計されている糖尿病患者の死因の15~20%は冠動脈疾患,15%は脳血管障害とされている.これらの点から,糖尿病患者の動脈硬化すなわち糖尿病大血管合併症は,糖尿病患者のQOLのみならず,死因を左右する極めて重大な疾患である.その危険因子として高血糖(殊に食後の血糖上昇),高インスリン血症あるいはインスリン抵抗性,その他の古典的危険因子(異脂質血症,高血圧,喫煙,高尿酸血症)以外に近年,遺伝子多型,慢性炎症,凝固線溶系異常,高ホモシスチン血症など多数の危険因子の関与が指摘されている.
すべての糖尿病患者に動脈硬化が進展するとはかぎらず,かつ動脈硬化進展群でも冠動脈疾患および脳梗塞を発症する症例はやはり限られた症例であることが知られている.現在,動脈硬化高リスク群を血液検査から診断することは,一部の遺伝疾患を除いて不可能である.したがって,動脈硬化の進展群,非進展群を診断するのは非侵襲的な超音波検査が望ましい.われわれは,皮下直下を走行する頸動脈に,大動脈とほぼ同時期と早期に動脈硬化病変が出現すること,微細な病変の観察が可能な高周波数の超音波が到達可能であることより,超音波断層法を用いる頸動脈内膜中膜複合体肥厚度計測法を開発した.
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