失敗から学び磨く検査技術 病理標本作製法
検体採取に起因するアーティファクト 検体採取前に変性している組織の取り扱い (2)脳
広井 禎之
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1防衛医科大学校病理学第一講座
pp.1296-1299
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100862
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壊死した組織や,死後長時間が経過した場合には組織構造や細胞構造が観察できないことがある.
脳組織でも自家融解のため,組織構造,細胞同定が不可能となる.マクロでは脳が融解壊死のため軟化し,原形をとどめない.ミクロでは壊死像を呈し,炎症細胞浸潤の見られないのが特徴である(図1~4).また,脳は摘出後基本的には割を入れず,脳底動脈,橋もしくは硬膜に糸を掛けて固定液中につるす浸透固定を行う.この場合,脳の中央部に死後変化が生じやすく,ガスを産生する細菌がその部に繁殖していわゆるスイスチーズ(Swiss cheese)のような孔が見られることもある(本シリーズ「固定不良」の項にて解説).
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