増刊号 細胞像の見かた―病理・血液・尿沈渣
第2章 血液 骨髄塗抹標本の見かた
6.異常細胞の見かた
5)2系統以上の細胞の異常(1)数の異常―③増加(3)
大畑 雅彦
1
1静岡赤十字病院検査部第2課
pp.1136-1143
発行日 2004年9月15日
Published Date 2004/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100807
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臨床像と形態学的所見
(症例1:図1-a,b,症例2:図1-c,d)
症例11):CML(chronic myelocytic leukemia,慢性骨髄性白血病)と診断後,脾摘と化学療法が施行された.経過観察中に一見裸核に見える異常細胞(矢印)が出現し,以後血小板の増多とともに大型の芽球も漸次増加していった(図1-a).末梢血に増多した血小板は,大小不同,巨大血小板のほかに,血小板特殊顆粒の減少や空胞変化なども見られた.その後発熱および関節痛と体重減少が増強し,腹部には3~4cmのゴム様硬の腫瘤を多数認め,また鼠径部リンパ節も腫大していた.骨髄穿刺では,至る所に図1-bのような細胞の集塊が観察された.
症例22):CMLの慢性期を約14年間,安定して経過していたが,鼠径部の腫瘤を自覚するようになってから白血球数が増加し,急性転化を疑い骨髄穿刺を施行した(図1-c).N/C比(nuclear-cytoplasmic ratio,核-細胞形質比)が大きく,一部の芽球には核の彎入や切れ込み,立体構造が観察され,POX(peroxidase,ペルオキシダーゼ)染色陰性,Td-T(terminal deoxynucleotidyl transferase)染色陽性,抗MPO(myeloperoxidase)染色陰性より,リンパ性急性転化と診断したが,一部に細胞形態上問題を残すものも見られた.VP(ビンクリスチン+プレドニゾロン)療法を3コース施行後には,CMLの慢性期の骨髄に戻った.その後,経過観察中に,大型で好塩基性の強い前赤芽球様の細胞が出現し始め,再度骨髄穿刺を施行した(図1-d).
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