増刊号 細胞像の見かた―病理・血液・尿沈渣
第2章 血液 骨髄塗抹標本の見かた
6.異常細胞の見かた
2)顆粒球系の異常(2)形態異常―①細胞質と核の異常
中竹 俊彦
1
1杏林大学保健学部臨床血液学
pp.1067-1069
発行日 2004年9月15日
Published Date 2004/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100793
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はじめに
顆粒球系の異常は,顆粒の産生段階での異常が主である.代表的な異常は中毒性顆粒(toxic granule)と,顆粒のない(低顆粒)好中球である.また,細胞質にデーレ小体(Dohle body)や空胞形成(vacuolation)なども見られる.
一方,核の形態異常は,倍数性の異常に基づく成熟好中球の過分葉(hyper segmentation)と,稀には2個の核を持つ異常がある.また,核の成熟異常にペルゲルの核異常(Pelger anomaly)に似た偽ペルゲル異常(pseudo-Pelger anomaly)がある.
形態異常の判断には,正常な細胞分裂と核の倍数性との関係を知ることも大切である.ヒト体細胞の倍数性は,染色体数23本の精子や卵子の核(n=23;N)を基準にして,その倍数で表す.正常な体細胞の核は染色体の23対(46本)に相当し,その倍数性(ploidy)は2倍体(2N)である.2Nの細胞は細胞分裂の前にはDNA合成で正確に4Nになり,核の2分裂に細胞質も同調して2分裂する.分裂後は2Nの細胞が2個できる.
正常な造血では,巨核球系を例外として通常は2Nから4Nに倍加してから細胞分裂する.好中球は完全に成熟したとき倍数性は2Nで分葉は3~4分葉である.分裂の異常で4Nの核のままで成熟すると6~8分葉(過分葉核)になる.
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