失敗から学び磨く検査技術 病理標本作製法
細胞診のアーティファクト
染色によるアーティファクト
(4) 染色液量不足による染色不良
阿部 仁
1
1慶應義塾大学医学部病理学教室
pp.363-364
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100627
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本来染まらなくてはならない色に染まらない標本,これは判断に迷うことになる.
考えられる原因
パパニコロウ染色(Papanicolaou stain)で細胞質染色はOG-6液とEA-50液を用いて行うが,この中に含まれているオレンジG,エオジンY,ライトグリーンSFイエローの3種類の色素の拡散度の違いによって細胞質を染め分けている.つまり,細胞構造が密な角化した扁平上皮細胞などは分子量の小さいオレンジGが入り込み,細胞質構造の疎な中層細胞や深層細胞などにはライトグリーンSFイエローが入りやすい.これらの染色液量の不足は,本来ならば細胞質をきれいに染め分けられるところを図1や図2のように細胞質の染色むらの原因となる.
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