失敗から学び磨く検査技術 病理標本作製法
包埋操作・ブロック作製に起因するアーティファクト 組織の収縮
吉村 忍
1
1防衛医科大学校病院検査部病理
pp.365-367
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100628
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図1,2はいずれもパラフィンブロック作製時の脱水・包埋過程で収縮を起こした標本である.単独ではわかり難いので図3,4に極力収縮の起こらない処理を施した標本を対比する.図1,3は肝臓のヘマトキシリン-エオジン(HE)染色像である,肝細胞や肝内胆管上皮の収縮が見られ,核も濃縮化やクロマチンの凝集化が見られる.図3下ののびのびとした像と比較するとよくわかるだろうが所見の取れない像ではない.図2,4は脳の組織にボディアン染色(Bodian stain)を施した標本だが,図1同様神経線維は収縮が見られグリア細胞は収縮による濃染化が生じ同定の難しい像となっている.日常業務ではこれらの状態は診断可能な標本であればそのまま済まされてしまうが人為的アーティファクトである以上,極力起こさない配慮を払うべきである.
考えられる原因
1 . 固定不十分で脱水・包埋処理を行った場合
固定に関する問題は他編を参照されたい.
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