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百聞は一見に如かず・4 大腸腺腫の病理学的評価
松谷 章司
1
1NTT東日本関東病院病理診断部
pp.310
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100617
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腺腫(アデノーマ,adenoma)は良性上皮性腫瘍の代表である.しかし,ヒトの大腸腺腫の研究から染色体異常,癌遺伝子や癌抑制遺伝子異常が段階的に進み,癌化に至るということがわかり,アデノーマ-カルチノーマシークエンス(adenoma-carcinoma sequence)と呼ばれ,腺腫とて油断できない病変である.他の臓器の癌化にもこのような仮説が立てられている.一方,このような経過を経ずに直接に癌化するものもあり,デノボ癌(de novo carcinoma)と呼ばれている.
大腸腺腫の多くはキノコのような形(ポリープ,polyp)をしており,茎の有無により,有茎性ポリープとか無茎性ポリープなどと呼ばれている.潜血反応は大腸癌のみならず,ポリープ発見の糸口ともなり,病理組織学診断と癌化予防とをかねて内視鏡的に切除される.組織発育形態から管状腺腫,管状絨毛状腺腫あるいは絨毛状腺腫に分けられ,構造や細胞の異型性の程度によって軽度異型,中等度異型,高度異型と分類される.腺腫の一部に癌が存在すると,腺腫内癌(carcinoma in adenoma)と呼ばれ,腺腫から癌化したことを支持する所見と考えられている.癌合併の頻度は腺腫の異型性の程度に並行して高くなることが知られている.
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