検査データを考える
呼吸機能検査
高橋 進
1
,
櫻井 滋
1
1岩手医科大学第三内科
pp.271-274
発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100588
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はじめに
健康診断や手術前検査など,スクリーニング目的の場合を除き,肺機能検査(pulmonary function test,以下「PFT」)は何らかの異常値が得られることを期待して検査がオーダーされる.すなわち,問診や視診,聴診などの診察所見,あるいは胸部X線写真や動脈血液ガス分析など他の検査結果からある程度その患者の病態を推測し,その鑑別のためにPFTを依頼することとなる.したがって,疾患鑑別目的のPFTでは何らかの異常がみられることがほとんどである.しかし,PFTには他の臨床検査と同様,PFT特有の,検査手技自体に起因する見掛け上の異常値が生じるメカニズムが存在する.このメカニズムを知っておかないと検査の異常値が疾患に起因するものか,検査手技に起因するものかについての判断ができない.PFTの異常所見が生じる要因は,①疾患要因(疾患に基づく異常),②被検者要因,③検者要因,④測定機器要因という4要因が想定される.
本稿では,基本的なPFTとして,換気機能検査を題材に,医師がどのような疾患の鑑別のためにPFTを依頼するのか,鑑別疾患で予想される結果と異なる検査異常がみられた場合,どのように判断すべきかについて述べる.
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