今月の表紙
百聞は一見に如かず・13 いろいろな方法を駆使して診断する腎生検
松谷 章司
1
1NTT東日本関東病院病理診断部
pp.88
発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100460
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腎機能障害の原因を確定し,治療方針を決めるために,腎生検がなされる.現在,エコーガイド下に比較的安全に経皮的針腎生検(percutaneous needle renal biopsy)を行うことができるようになっている.糸球体病変の診断には通常染色による光顕所見のほかに,蛍光抗体法所見,電子顕微鏡所見を合わせて行う必要がある.特に蛍光抗体法には未固定凍結が,電子顕微鏡にはグルタールアルデヒド固定が必要で,腎生検直後に適切な処理を行わねばならない.実体顕微鏡を用いて,糸球体(毛細血管に赤血球を含み赤色調の球状構造を示す)を確認し,それぞれの標本に必ず糸球体を含めなければならない.
光顕標本ではHE染色(hematoxylin-eosin stain)のほかにPAS染色(periodic acid-Schiff stain),PAM染色(periodic acid-methenamine-silver stain),EM染色(elastica masson stain)〔またはEvG染色(elastica van Gieson stain)〕やアザン染色などを行い,糸球体病変の頻度,分布,頻度や糸球体内の局在などを把握する.糸球体病変の頻度が標本上8割以上にみられるものをび漫性(diffuse),一方5割未満である場合を巣状(focal)と呼ぶ.糸球体内の分布がほぼ全体の場合,全節性(球状,global)といい,限局性の場合,分節性(segmental)と呼ぶ.蛍光抗体法では免疫複合体の免疫グロブリンや補体の構成を知る.電顕にて,免疫複合体の超微細構造からみた性状と沈着部位を検索する.
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