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子宮体癌
産婦人科領域における超音波断層装置は内科医の聴診器と同様のレベルに捉えられ,普及した.日本を含む先進国での全人口における閉経以降の女性の構成比率は高くなっており,この時期の女性における超音波断層装置の適応として,Levine1)は①不正性器出血における子宮内膜の評価,②内診で触知される骨盤内腫瘤を持つ女性における子宮や卵巣の評価,③ハイリスク群の女性に対する子宮体癌・卵巣癌のスクリーニング,を挙げている.子宮体癌,卵巣癌は超音波診断の意義が大きい疾患としても知られ,近年増加傾向の婦人科悪性疾患でもある.婦人科領域の超音波断層診断でこの十年の技術的進展としては,経膣プローブを用いた経膣超音波,カラードプラ法(color Doppler mode)〔パルスドプラ法(pulse Doppler mode)〕による血流速度の計測〔抵抗計数(resistance index),拍動指数(pulsatility index,PI)〕,三次元画像の活用などが注目されるところである.ここでは子宮体(内膜)癌の超音波診断を中心に述べる.
月経周期と子宮内膜の超音波画像
女性の身体のうちでも性ホルモンの強い影響下にある数少ない組織のひとつが子宮内膜であり,女性ホルモンの周期的分泌があればそれに応じた変化が起こる.したがって,超音波画像の読影において月経周期を有するか否か,月経があればそのいずれの時期なのか,は重要である.子宮内膜はナスのような形をした子宮の中央部に位置する高輝度エコー帯として描出され,内膜の厚さは子宮内膜の前層と対する後層との両者の和として表現される2).子宮内膜の周囲の低輝度エコー領域は子宮筋層の緻密層であり,これは内膜の厚さの計測には含めない.
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